●「後藤組長ビル虚偽登記事件」
新宿駅近くにある「真珠宮ビル」の所有権が「株式会社真珠宮」にあるのを知りながら、名義を「株式会社菱和」を挟んで「株式会社フェニックス」から 「株式会社赤富士」に虚偽登記したとして、赤富士の実質的オーナーの後藤組長ら5人が起訴され、フェニックスの会長が執行猶予付の実刑判決を受けた
が、菱和の会長と菱和側の不動産仲介業者が無罪(検察が控訴せずに確定し、菱和の社長は国賠訴訟を起こしている)に。そして3月7日、東京地裁は後藤 組長と赤富士側の不動産仲介業者に対し無罪(仲介業者は別の事件で執行猶予付実刑判決)を受け、検察側が控訴している。
5人が起訴され、そのうち4人が無罪ということで分かるように、この事件はせいぜい民事の問題であって、刑事で逮捕、起訴すべきでないもので、でっち上げである。講師からは、なぜ起訴になった背景として、ビルの管理会社から莫大な金を違法にむしり取っていた顧問と、後藤組長逮捕で成果を挙げようとしていた警部補の利害が一致し、さらにこの顧問が殺害される事件があったことを指摘。いわば司法取引が行われ、さらに警察内部の出世争いが絡んでいるという構図だ。
当初、菱和の社長と後藤組長は共犯とされていた。だが証拠はなく、菱和社長は無罪となり、検察も控訴できなかった。事件の構図は完全に崩れたが、今度は菱和が赤富士を告訴しようとしたため、これを回避しようとして虚偽登記したと変えてきた。だが、後藤組長側が金を用意したのはこれより以前のことであり、さらに権利がないことを知りながら13億円もの金を出すはずがない。
無罪判決は当然の帰結だが、検察は控訴した。逆転有罪を得意とする“ヒラメ”の東京高裁に対する期待感、さらには「ヤクザは法の下の平等から除外される」という頭があるのだろう。今の司法の現状からすると、予断を許さない状況だ。

●「共政会・守屋会長恐喝事件」
解体業者から工事費の1割を「挨拶料」名目で上納させたとして、守屋会長が恐喝容疑に問われ、2月29日、広島地裁は懲役7年(求刑12年)の実刑判決を言い渡した。この解体業者はかつて別の組織に属していた元ヤクザで、自身が談合組織をつくり、恐喝などで逮捕、再逮捕され、守屋会長から恐喝されていたことを供述するよう強制され、実子が逮捕された直後に、シナリオどおりの供述に転じた。しかも自身の事件は執行猶予付判決で、ここでも司法取引が行われた可能性が指摘された。
また、守屋会長が共政会トップとなってすぐの逮捕であり、その後、何度も再逮捕が繰り返され長期社会不在を余儀なくされていることからも、これが共政会に対する弾圧であるとの指摘があった。取り調べを行った刑事は、接見禁止中の解体業者に電話を掛けさせたり、拳銃のヤラセ摘発、テレクラ放火殺人事件の主犯とされる人物と親密な関係にあったことも明らかになっている。
この事件に関しては、示談交渉をした弁護士が恐喝容疑で逮捕されるという事態も発生。安田弁護士の事件と同様、弁護活動に権力が土足で介入し、萎縮させようとしているのである。
また、裁判長は先に死刑を求刑されている事件で、「疑わしきは被告人の利益に」という原則に則って無罪判決を言い渡した人物で、「ヤクザは息をしているだけで有罪」という“司法の常識”を覆すのではないかとの期待もあった。ところが、判決を前にして裁判所におかしな動きがあった。広島高裁の所長が依願退職して県公安委員会に天下り。その後任となったのは、安田弁護士事件の裁判に関わった裁判官で、東京高裁部長からの栄転。しかもこの広島高裁では光市の事件の差し戻し控訴審が行われているのである。「裁判官も検察も法務官僚。国家意思を反映させるためには首のすげ替えもする」との指摘には頷かざるを得ない。そして、法務官僚、国家意思に反し、法律と良心に従って戦う弁護士には弾圧が加えられているのだ。